以前、「頭脳的な職業は認知症になりづらい」、「仕事を引退した後も社会とのつながりを持った方が認知症になりづらい」という内容の記事を投稿しました。
今回はそれを裏付ける研究結果のご紹介です。
目次
2016年アルツハイマー病協会国際会議での発表
今年の7月24日から28日までカナダのトロントで開催されたAAIC(アルツハイマー病協会国際会議)で、アメリカ・ウィスコンシン州アルツハイマー病研究センター(兼ウィスコンシン大学医学部公衆衛生学講座)のElizabeth Boots氏が発表しました。
Elizabeth Boots氏(出典:LinkedIn)
学会で発表されたばかりの内容ですが、残念ながら、その抄録は入手できませんでした。
しかし、以下のサイトには、この学会で発表された内容が書かれています。(全て英文)
脳MRIを用いた研究結果
Boots氏の発表の概要は以下のとおりです。
脳梗塞などの脳血管疾患では、MRI検査を行うと、脳内にWMHs(白質高信号=white matter hyperintensities)と呼ばれる変化が現れます。
(出典:ReseachGate)
WMHsは脳機能低下に関与すると考えられていますが、これが現れている人全てが脳機能が低下しているというわけではありません。
Boots氏らによると、平均年齢60歳の健常者284人を対象にMRI検査を行った結果、WMHsが多く見られる人では、人と関わる複雑な仕事に就いている人の方が、物やデータを扱う仕事をしている人よりも、認知機能がよく維持されていることがわかりました。
要するに、人と関わる仕事をしている人の方が認知症になりにくいということです。
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認知症になりにくい、人と関わる仕事とは具体的に何か?
Boots氏によると、それは、医師、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、心理学者、教師、弁護士、牧師などだそうです。
ただ、人と関わる仕事というのは、こればかりではありません。
営業職、窓口業務、接客業、警察官、看護師、美容師、保育士、介護士などいろいろあります。
(むしろ人と関わらない仕事の方が少ないと思うのですが…)
例外もあるでしょうが、人は一生働き続けるわけではありませんので、仕事を引退した後は家に引きこもらず、積極的に外に出て、人と交流する機会を持った方がいいと思います。
人との関わりの少ない仕事をしている人は、仕事以外の場で人と交流する機会を作ったり、頭を使うゲームや脳トレなどをすることで、認知症が予防できる可能性があります。