「緑茶を毎日飲むと認知症になる危険が68%低下する」という研究結果が、金沢大学神経内科から発表されたのは、先日お伝えしたとおりです。
その金沢大学神経内科で、現在ロズマリン酸の認知症に対する効果を検討する臨床試験が行われています。
目次
ロズマリン酸とは?
ロズマリン酸は、ロスマリン酸、ローズマリー酸とも言い、その名のとおり、シソ科のローズマリーに多く含まれているポリフェノールの一種です。
英語では「rosmarinic acid」と言います。
ローズマリーの他に、シソ、レモンバームなどにも多く含まれています。
ロズマリン酸はアレルギーに対する効果が認められている
シソ科植物の代表であるシソは、10年以上前からアレルギー症状を緩和する成分が含まれているということで知られていました。
その成分というのがロズマリン酸です。
花粉症に対するヒトの実験では、京都府立医科大学生体機能制御学(第一内科)(吉川敏一教授)の研究グループが2004年に発表した論文があります。
原著:Extract of Perilla frutescens enriched for rosmarinic acid, a polyphenolic phytochemical, inhibits seasonal allergic rhinoconjunctivitis in humans.
Takano H, Osakabe N, Sanbongi C, Yanagisawa R, Inoue K, Yasuda A, Natsume M, Baba S, Ichiishi E, Yoshikawa T.
Exp Biol Med (Maywood). 2004 Mar;229(3):247-54.
(邦訳:ポリフェノール植物化学物質であるロズマリン酸が豊富に含まれるシソエキスは季節性アレルギー性鼻炎結膜炎を抑える効果がある)
この研究結果では、ロズマリン酸50mgという量で効果があったということです。
この量は赤シソで換算すると、20枚前後だということです。
(出典:花粉症対策に注目! ロズマリン酸 | All About)
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金沢大学神経内科のポリフェノールに関する基礎研究
アルツハイマー型認知症では、脳内でアミロイドβと呼ばれるタンパク質が凝集・蓄積して線維化し、神経細胞を死滅させることがわかっています。
ロズマリン酸などのポリフェノールは、このアミロイドβの凝集・蓄積・線維化を抑制し、神経細胞の死滅を防ぐ作用があることが、これまで試験管内実験や動物実験で明らかとなっていました。
(以下邦訳を略します)
原著:Potent anti-amyloidogenic and fibril-destabilizing effects of polyphenols in vitro: implications for the prevention and therapeutics of Alzheimer’s disease.
Ono K, Yoshiike Y, Takashima A, Hasegawa K, Naiki H, Yamada M.
原著:Phenolic compounds prevent Alzheimer’s pathology through different effects on the amyloid-beta aggregation pathway.
Hamaguchi T, Ono K, Murase A, Yamada M.
Am J Pathol. 2009 Dec;175(6):2557-65. doi: 10.2353/ajpath.2009.090417. Epub 2009 Nov 5.
原著:Phenolic compounds prevent amyloid β-protein oligomerization and synaptic dysfunction by site-specific binding.
Ono K, Li L, Takamura Y, Yoshiike Y, Zhu L, Han F, Mao X, Ikeda T, Takasaki J, Nishijo H, Takashima A, Teplow DB, Zagorski MG, Yamada M.
J Biol Chem. 2012 Apr 27;287(18):14631-43. doi: 10.1074/jbc.M111.325456. Epub 2012 Mar 5.
金沢大学神経内科の健常者に対するロズマリン酸臨床試験
その後、健常者を対象とした臨床試験が行われています。
原著:Pharmacokinetics, Safety and Tolerability of Melissa officinalis Extract which Contained Rosmarinic Acid in Healthy Individuals: A Randomized Controlled Trial
Moeko Noguchi-Shinohara, Kenjiro Ono, Tsuyoshi Hamaguchi, Kazuo Iwasa, Toshitada Nagai, Shoko Kobayashi, Hiroyuki Nakamura, Masahito Yamada
Published: May 15, 2015
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0126422(邦訳:ロズマリン酸を含むレモンバームエキスの健常者での薬物動態、安全性、忍容性)
その結果、ロズマリン酸の安全性、忍容性に問題はないことがわかりました。
また、食事摂取はロズマリン酸の吸収を遅らせ、ロズマリン酸への曝露を増加させることがわかりました。
これは、ロズマリン酸を多く含むシソジュース、ローズマリーやレモンバームのサプリメントなどは、食事と一緒に摂取する方が効果が高いということです。
金沢大学神経内科の認知症患者に対するロズマリン酸臨床試験(ただ今実施中)
現在行われている、軽度認知障害高齢者を対象としたロスマリン酸含有レモンバーム抽出物の認知機能に対する有効性に関する臨床試験の概要は、以下のサイトをご覧ください。
研究結果が待たれますね。
ロズマリン酸を多く含むサプリメントのご紹介
ロズマリン酸はまだ認知度が低いせいか、国産サプリメントはありません。
海外製品のサプリメントを下記に紹介します。
英語のページが開いた場合は、言語設定を日本語(JA)に変更して見てください。
なお、海外のサプリメントは錠剤やカプセルが大きいものが多いです。
日本人には少し飲みづらいかもしれませんので、購入する場合はご注意を…。
ローズマリー
※ロズマリン酸の含有量は明記されていません。
ローズマリーエキス 275mg(カルノシン酸/ロズマリン酸含有)
※このサプリメントには、1粒あたり30mgのロズマリン酸が含まれていると明記されています。
レモンバーム(メリッサ)
Nature’s Way、メリッサ(レモンバーム)、葉、100カプセル
※ロズマリン酸の含有量は明記されていません。