先日は、生涯従事した「仕事の種類」によって認知症リスクに違いがあるという記事を掲載しましたが、今回は仕事を引退した時期(年齢)によって認知症リスクが異なるという内容です。
目次
フランスの研究グループによる2014年5月の報告
フランス国立保健医学研究機構(Institut national de la santé et de la recherche médicale=INSERM)疫学・生物統計学(Françoise Forette教授)のCarole Dufouil氏らは、フランスの元自営業者を対象に、引退時の年齢と認知症リスクとの関連を検証しました。
原著:Older age at retirement is associated with decreased risk of dementia.
Dufouil C, Pereira E, Chêne G, Glymour MM, Alpérovitch A, Saubusse E, Risse-Fleury M, Heuls B, Salord JC, Brieu MA, Forette F.
Eur J Epidemiol. 2014 May;29(5):353-61. doi: 10.1007/s10654-014-9906-3. Epub 2014 May 4.
(邦訳:退職時年齢の高さは認知症リスク低下に関連している)
原著全文はこちら⇒http://www.ilcfrance.org/realisations/docs/2014/RSI_retirement_and_dementia_2014.pdf
この論文の要約
【対象】
2010年12月31日現在で生存している、仕事を引退したフランスの元自営業者を対象とした。
【結果】
・対象者42万9,803人のうち、認知症の有病率は2.65%であった。
・認知症リスクは、引退時の年齢が上がるごとに減少していた。
・仕事を引退した年齢と認知症発症リスクには有意な関連性が認められた。
・認知症を予防するためには、現役および引退後の生活において、認知的および社会的な刺激が重要であると考えられる。
(出典:ケアネット)
仕事は長く続けた方がよい。引退した後も頭を良く使い、社会とのつながりを持ちましょう。
この結果は、先日投稿した記事の内容とよく似ています。
「認知的な刺激」というのは、「頭をよく使え」という意味だと思います。
仕事に従事している時も、仕事を引退した後も、普段から頭を良く使うと認知症は防げるということですね。
「社会的な刺激」は、仕事を引退しても社会とのつながりを持ちましょうということでしょう。
同じ仕事でも、社会とのつながりのない仕事(内容はご想像におまかせします)では、認知症リスクが高まるということかもしれませんね。