乳酸菌と言うと「腸の調子を整える善玉菌」というイメージがありますが、便秘や下痢を改善するといった整腸作用以外にも、いろいろな効能効果があるとされています。
(例:免疫力強化、アトピー性皮膚炎や花粉症の改善・予防、高血圧予防、コレステロール低下、大腸癌予防、口臭予防など)
また、一口に乳酸菌と言っても、実にさまざまな種類(株)があり、それぞれに特異的な効能効果があるようで、いろいろな製品が市販されています。
目次
乳酸菌(シロタ株)には表在性膀胱癌の再発を抑制する効果がある
その中で、シロタ株という乳酸菌が、表在性膀胱癌の再発予防効果があると言われています。
ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei strain shirota、L.カゼイ YIT 9029)
シロタ株というのは、皆さんご存じの「ヤクルト」に入っている乳酸菌のことで、通称「ヤクルト菌」とも言います。
乳酸菌シロタ株は、1930年(昭和5年)、京都帝国大学(現京都大学)医学部微生物講座の当時講師だった医学博士代田稔(しろたみのる)(1899~1982)によって発見された乳酸菌です。
(画像出典:Yakult Central Institute)
代田博士はその後、1933年(昭和8年)に同大学助教授、1938年(昭和13年)にハルピン大学教授などの要職を経て、1955年(昭和30年)に株式会社ヤクルトを創立しています。
(なお、ヤクルトの商標登録は1938年(昭和13年)です。)
文献:膀胱がん予防と乳酸菌 シロタ株
詳しい内容については、こちらのページをご覧ください。
(このページの中ほどにある「▷詳細はこちら」をクリックすると、文献が開きます。)
文献では、シロタ株生菌製剤を1日3g、毎日服用すると、1年後の膀胱癌再発率が45.1%から20.8%にまで減少したと書かれてあります。
(上記の文献より引用)
ここでいう「シロタ株生菌製剤」というのは、「ビオラクチス」(YA921)という医薬品のことで、一般の人が服用するためには、病院やクリニックでの医師による処方箋が必要です。
ヤクルトを毎日飲むよりもビオラクチスを飲んだ方がかなり経済的
ビオラクチス1g中には、乳酸菌シロタ株が15億~210億個含まれています。
ヤクルト(無印)1本にはシロタ株が200億個含まれているので、ビオラクチス3g/日は、1日にヤクルト3本飲むのと同じ効果です。
(画像出典:シロタ株.jp)
ただ、ヤクルトを1日3本飲むと、40円×3=120円、1ヶ月(30日)だと120円×30=3,600円 かかります。
(ヤクルト400の場合は、1本にシロタ株が400億個含まれています。値段は1本80円です。)
ビオラクチスは1gの薬価が6.2円なので、1日3gで18.6円、1ヶ月で558円です。
3割負担でも1ヶ月(30日)約168円と、かなり安いので、病院で処方してもらった方がいいでしょう。
ビオラクチスの効能効果
なお、ビオラクチスの適応症は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」となっています。
処方するためには病名が必要なのですが、下痢症、便秘症、腸内ガス産生過多、過敏性腸症候群などの病名があれば大丈夫なので、だいたいどこの医療機関でも処方してもらえると思います。
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表在性膀胱癌以外の尿路上皮癌に対してはどうなのか?
これは経験に基づく個人的な印象ですが、ビオラクチスは確かに表在性膀胱癌にはある程度の効果があると実感しているのですが、残念ながら、表在性膀胱癌以外の尿路上皮癌(浸潤性膀胱癌、腎盂癌、尿管癌)に対する再発予防効果はないというのが正直な感想です。