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風邪薬に膀胱癌の転移を予防する効果がある~膀胱癌に有効な風邪薬とは?

膀胱癌と風邪薬

10月5日に北海道大学から発表され、すでに新聞やネット上で紹介されている研究結果に対する考察です。

研究結果の概要は、風邪薬の成分である非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs=NSAIDs)である「フルフェナム酸」が、膀胱癌の転移を抑え、かつ抗癌剤に対する癌の抵抗力を抑える効果があるというものです。

記事の引用はしないので、詳しくは各社報道や北海道大学のプレスリリースをご覧ください。

北海道大学プレスリリース

これらの報道を見て、一般の人は「市販の風邪薬を飲めば膀胱癌が防げる」(?)といったニュアンスに捉えられたのではないかと思いますが、実際はそうではありません

ネット上では、その辺を解説していない記事がほとんどなので、今回ここで取り上げることにしました。

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市販の風邪薬や病院で処方される風邪薬の有効成分とは?

風邪薬=総合感冒薬には、さまざまな有効成分が含まれています。

発熱に効く成分、喉や頭の痛みに効く成分、咳や痰に効く成分、鼻水に効く成分などです。

このうち最も重要な成分は、発熱や喉・頭の痛みに効く、一般的に解熱鎮痛薬と呼ばれる成分です。

膀胱癌と風邪薬

今回、市販されている主な風邪薬(総合感冒薬)と、病院で処方される風邪薬に含まれている有効成分のうち、解熱鎮痛薬のみに着目して一覧表を作成してみました。

風邪薬の有効成分一覧表(解熱鎮痛薬のみ)

◎市販薬

製薬会社 薬品名 有効成分 成人1日服用量
武田薬品 ベンザエースA アセトアミノフェン 900mg
ベンザブロックSプラス アセトアミノフェン 900mg
ベンザブロックLプラス イブプロフェン 450mg
ベンザブロックIPプラス イブプロフェン 450mg
大正製薬 パブロンSゴールドW アセトアミノフェン 900mg
パブロンSa アセトアミノフェン 900mg
パブロンゴールドA アセトアミノフェン 900mg
パブロンエースAX イブプロフェン 450mg
佐藤製薬 ストナアイビージェルS イブプロフェン 450mg
ストナプラスジェルS アセトアミノフェン 900mg
ストナジェルサイナスS アセトアミノフェン 900mg
エスエス製薬 エスタックイブファインEX イブプロフェン 450mg
エスタックイブNT イブプロフェン 450mg
エスタックイブFT イブプロフェン 450mg
エスタック総合感冒 アセトアミノフェン 900mg
新エスタックW アセトアミノフェン 480mg
サリチルアミド 400mg
第一三共ヘルスケア 新ルルAゴールドDX アセトアミノフェン 900mg
新ルルAゴールドs アセトアミノフェン 900mg
新ルル-A錠s アセトアミノフェン 900mg
ルルアタックFX アセトアミノフェン 900mg
ルルアタックEX イブプロフェン 450mg
ルルアタックNX イブプロフェン 450mg
プレコール持続性カプセル アセトアミノフェン 450mg
イソプロピルアンチピリン 300mg
プレコール持続性ファミリー錠 アセトアミノフェン 900mg
グラクソ・スミスクライン 新コンタックかぜ総合 アセトアミノフェン 900mg
新コンタックかぜEX イブプロフェン 400mg
ライオン バファリンEXかぜ薬 イブプロフェン 450mg
全薬工業 ジキニン顆粒エース アセトアミノフェン 900mg
新ジキニン顆粒 アセトアミノフェン 900mg
ジキニン顆粒A アセトアミノフェン 900mg
ジキニンC アセトアミノフェン 900mg
新ジキニン錠D アセトアミノフェン 900mg
ジキニン錠エースIP イブプロフェン 450mg
ジキニン顆粒IP イブプロフェン 450mg
カイゲンファーマ 改源、改源錠 アセトアミノフェン 900mg
改源かぜカプセル アセトアミノフェン 900mg
カイゲン感冒錠 イブプロフェン 450mg
カイゲン顆粒 アセトアミノフェン 900mg
カイゲン感冒カプセルDX アセトアミノフェン 900mg
興和 コルゲンコーワIB錠TX イブプロフェン 450mg
コルゲンコーワIB透明カプセルα イブプロフェン 450mg
コルゲンコーワIB2 イブプロフェン 200mg

◎病院処方薬

製薬会社 薬品名 有効成分 成人1日服用量
塩野義製薬 PL顆粒 アセトアミノフェン 600mg
サリチルアミド 1080mg
各社 サラザック(大洋薬品) PL顆粒と同じ (PL顆粒と同じ)
セラピナ(マイラン)
トーワチーム(東和薬品)
ピーエイ(各社)
マリキナ(鶴原製薬)
ネオアムノール(三和化学)
大鵬薬品 ぺレックス アセトアミノフェン 600mg
サリチルアミド 1080mg

これを見ると一目瞭然ですが、市販薬も病院処方薬も全ての風邪薬は、必ずアセトアミノフェンイブプロフェンのどちらが解熱鎮痛薬として含まれています。

アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬ですが、NSAIDsには分類されず、抗炎症作用がほとんどありません。イブプロフェンはNSAIDsです。

アセトアミノフェンよりもイブプロフェンの方が効果が強いですが、市販薬では小児に使えないことになっています。したがってイブプロフェンを含む風邪薬は全て成人用です。

風邪薬 膀胱癌

(画像出典:のりーず

さて、風邪薬の成分と言っているのに、この中にフルフェナム酸が含まれている風邪薬がありませんね。

どういうことでしょうか?

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フルフェナム酸とは?

フルフェナム酸はNSAIDsのひとつで、大正製薬から「オパイリン」という商品名で発売されている処方箋医薬品です。(正確にはオパイリン=フルフェナム酸アルミニウムです。)

フルフェナム酸アルミニウム

1967年(昭和42年)に発売が開始されたとても古い薬です。

オパイリン(フルフェナム酸アルミニウム)の効能効果

オパイリンの効能効果は、

①関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、肩胛関節周囲炎、関節炎、症候性神経痛の消炎、鎮痛、解熱

②抜歯後、歯髄炎、歯根膜炎の消炎、鎮痛

③膀胱炎、前立腺炎、帯状疱疹、湿疹・皮膚炎、紅斑症、各科領域の手術後ならびに外傷後の炎症性反応の消炎

急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱・鎮痛

となっています。

記事や論文中でフルフェナム酸は「安価な風邪薬成分」とされていますが、上記の④の効能効果(急性上気道炎)から「風邪薬」として紹介したのかもしれません。

膀胱癌 風邪薬

しかし、実際に風邪薬として処方することはまずありません。

フルフェナム酸は古いNSAIDsなので胃腸障害の副作用が多く、現在では副作用の少ない新しいNSAIDsを投与することがほとんどだからです。

もし処方するとしても、風邪薬としてではなく「痛み止め」として使われることが多いです。

オパイリンの薬価

オパイリンには125mg錠と250mg錠があり、薬価は1錠あたりそれぞれ9円、12.2円です。

成人は1日3錠1回125~250mgを1日3回服用します。

125mgを1日3錠で27円、250mgを1日3錠で36.6円ですから、3割負担だとしても1日あたりそれぞれ8.1円、11円しかかからないので、確かに安価な薬ではありますね。

【注意】風邪薬にフルフェナム酸は含まれていない

抗癌剤の価格が高騰化する昨今、安価なNSAIDsに膀胱癌の転移を防ぐ効果があるとわかったことは、大変すばらしい研究成果で、今後の臨床応用が期待されます。

ただ、今回の報道にあるような「風邪薬の成分」という表現は、一般の人にとっては、ドラッグストアやコンビニで買える市販の風邪薬をイメージすることになりかねず、誤解を招くのではないかと思います。

正しくは、病院で処方される(処方箋医薬品である)解熱鎮痛薬です。

ご注意ください。

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