がん保険(生命保険)に加入している場合、癌と診断された時には給付金が支払われるのですが、注意しなければならないのは、「上皮内癌」と診断された場合です。
目次
上皮内癌では保険金が給付されない(あるいは減額される)
多くのがん保険では、上皮内癌は「癌」あるいは「悪性新生物」ではなく、「上皮内新生物」として取り扱われ、「癌ではない」ため、がん保険の給付金が支払われない場合が多く、商品によっては給付されたとしても、金額が大幅に減額されることになっているようです。
上皮内新生物と悪性新生物の違い
上皮内新生物は、腫瘍細胞がそのまま上皮内(大腸については「粘膜筋板までの中」)にとどまっている、すなわち浸潤をしていないことが、悪性新生物との大きな違いです。これらの病変は、上皮外に浸潤していないので、転移もしません。したがって、多くの場合、良性新生物と同様の手術で根治します。具体的には、上皮内がん、子宮頚部の高度異形成・中等度異形成、大腸の粘膜内がん、皮膚のボーエン病などのことです。
(アフラック:がん保険の対象可否より抜粋)
(出典:保険の教科書)
医学的な定義とは別に、保険の約款上、上皮内癌は「切除すれば治る」「良性腫瘍」に準じて取り扱われるため、がん保険給付金が支払われないということです。
膀胱上皮内癌は医学的には悪性新生物であり、悪性度の高い癌である
確かに子宮頸部上皮内癌は円錐切除、大腸上皮内癌は内視鏡的切除で根治できる可能性が高いため、保険会社からすると、症例数の多い上皮内癌(子宮頸癌の場合、全体の44%)にいちいち高い給付金を支払っていられないというのはわかるような気がします。
他臓器とは違う特殊な性質を持った膀胱上皮内癌
しかし、同じ上皮内癌でも膀胱の場合は、他の臓器の上皮内癌と違った性質を持っています。
(画像出典:WebPathology)
それは、
1. 上皮内癌と正常膀胱粘膜との境界がはっきりせず、内視鏡手術で根治できない。
2. 悪性度が極めて高い。
3. 放置すると浸潤癌に進行する危険性が極めて高い。
ということです。
膀胱上皮内癌は、BCGの膀胱内注入療法が非常に有効な癌ではありますが、一方で非常に再発しやすく、浸潤癌に進行する危険性があるため、十分注意して経過観察する必要がある癌です。
他の臓器の上皮内癌のように、切除すればほぼ100%治る癌とは違うのです。
(出典:三重大学腎泌尿器外科)
スポンサーリンク
保険会社は悪性度の高い危険な膀胱上皮内癌に対し、保険金を給付すべき
この辺を保険会社は理解していないのか、理解していても無視しているのかわかりませんが、癌の発生部位がどこであろうと、とにかく上皮内癌ではがん保険金が給付されない(あるいは減額される)ようです。
癌になったのに保険金が給付されないという、がん保険の契約者にとっては詐欺に遭ったような話ですが、そういう決まりになっているので、保険金を請求する時には注意が必要です。
診断書の記載内容について、主治医と相談してみるのもよいかもしれません。